祇園囃子といえば「コンチキチン」といわれるぐらい鉦の音色で表現されますが、そのほかに締め太鼓と笛(能管)の3種類の楽器で演奏されています。鉾の上では太鼓2名、笛8名、鉦8名で演奏され、巡行では50名前後が月鉾に乗り交代しながら演奏していきます。
巡行では四条河原町までがゆったりしたスローテンポの渡り囃子(奉納囃子)を奏で、辻回し後の河原町からは浮き浮きした曲が多い戻り囃子となりますが、月鉾囃子では四条寺町の御旅所前では「神楽」「唐子」という曲で囃子を奉納し、四条河原町辻回し中に「打上げはつか」を演奏して、鉾が河原町方向に向かったらスローテンポから一気に速いテンポになる戻り囃子になるように囃子を組み立てるのが太鼓方の腕の見せ所です。戻り囃子では月に由来する曲名である「月」「うさぎ」や辻回しのときに奏でる「四季」、笛の聞かせどころの「扇」「榊」など約35曲を演奏します。そして月鉾町に戻ってきたら「うさぎ」と曲を告げると「あともう少しで楽しかった巡行も終わり、最後の気力を出して頑張ろう」といった気持ちです。巡行の終了を告げる曲「今野」が出されると囃子方の気分は最高潮となり、スピード感あふれる囃子のリズムで観客の方も圧倒され、月鉾関係者や観客の皆さんも感動の渦となりそして巡行が終了となります。
月鉾囃子方は一年を通して囃子研修活動をおこなっていますが、やはり7月の祭り期間が祭礼御奉仕としてメインの時期となるのはどの山鉾でも同じです。7月1日の吉符入奉納囃子から始まり、8日までの二階囃子(お囃子の稽古期間で19時から21時頃)、12日の曳初め、13日からの鉾囃子(夕方から)、16日の宵山囃子と同日深夜の日和神楽囃子、17日朝からの山鉾巡行となります。年によっては10日のお迎え提灯、18日から23日の間に四条寺町の御旅所での奉納囃子、24日の花傘巡行などの御奉仕もあります。このように重要無形民俗文化財である祇園囃子の伝承と祭礼御奉仕をさせていただいております。